中鎖脂肪酸

MCT(Medium Chain Triglyceride)の主成分、中鎖脂肪酸は、主にココナッツやパームフルーツなどヤシ科植物の種子に含まれる天然成分で、一般の植物油に含まれるオレイン酸やリノール酸と同じ脂肪酸の仲間。“脂肪”という字面から「肥満」や「不健康」な印象を持ってしまいがちな脂肪酸だが、実はイメージとは異なり、中鎖脂肪酸は赤ちゃんが毎日口にする母乳にも含まれている。

脂肪酸には長鎖脂肪酸というものもあるが、その半分の長さのものを中鎖脂肪酸という。
長鎖脂肪酸が小腸から消化・吸収されたあと、リンパ管や静脈を通って脂肪組織や筋肉、肝臓に運ばれ、必要に応じて分解・貯蔵されるのに対し、中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸に比べて長さが短いため、水になじみやすい特長をもち、小腸から門脈を経由して直接肝臓に入り分解される。このように消化・吸収後の経路が異なるため、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べて分解される時間が4~5倍も速く、短時間でエネルギーになるという。話題のココナッツオイルには、約60%の中鎖脂肪酸が含まれている。

一般の方にはなじみが薄い中鎖脂肪酸も、医療や介護の世界ではその利点が注目され早くから活用されていた。中鎖脂肪酸100%の油は40年前から医療現場で栄養補給時に活用されるほど安全性が高く、エネルギーを積極的に必要とする未熟児や腎臓病患者、高脂肪食を必要とするてんかん患者、消化器系の手術を行って長鎖脂肪酸の消化吸収が低下した患者への栄養補給時に、その安全性の高さから利用されてきた。また介護の現場では高齢者の低栄養状態の改善に活用されている。

中鎖脂肪酸はその栄養生理機能の解明が進むにつれて、ますます幅広い領域で活用されることが期待されている。さらに食品加工技術の進展により、中鎖脂肪酸を使用したおいしくて魅力的な食品がどんどん開発されており、その恩恵にあずかる方はますます増えていくことだろう。

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