肛門専門科_京都市

大岡越前も悩んでいた内痔核(いぼ痔)ってどんな病気?

 肛門の三大疾患は内痔核、裂肛、痔瘻の三つです。その中で内痔核が最も多い肛門の病気です。
 内痔核は、肛門の入り口から約2~3㎝奥まで皮膚の部分があります。この皮膚の部分を肛門上皮といって、ここまでを肛門と言います。その奥が直腸です。直腸に入ったところに、静脈がたくさん集まっていて網の目になっているところがあります。この静脈の流れが悪くなって静脈の瘤、静脈瘤を内痔核と言います。排便の時の力みの時間が長いことが一番の原です。内痔核は悪性の病気ではありません。嫌だなと感じる症状を取ることが、治療の目的になります。治療方法はその内痔核の程度で決まってきます。
あの天下の名奉行、大岡越前もこのいぼ痔で悩んでいました。

大岡越前もこのいぼ痔の出血や痛みで悩んでいました。

大岡忠相は名奉行・大岡越前守として、「三方一両損」などの大岡裁きで有名で、歴史書というより、むしろ演劇や講談、落語で親しまれています。実際の大岡忠相は常に冷静で、計算の行き届いた人物だったといいます。
 大岡忠相が書いた「大岡越前守忠相日記」に痔で悩んだ記載があります。寛保3年(1743年)1月15日から17日までの3日間に「痔血走り、今日まかり出ず在宅」と痔で悩んだことが書かれています。1月15日の朝、肛門の激痛で目が覚め、出血もしていました。2日後に徳川家の近親を連れ墓参りに行くという公用の行事があるが、出血のために休みたいと行事責任者の稲生正武に告げると、「今頃言ってもだめ」との返事が返ってきました。正武は忠相が日頃からの宿命のライバルだったようです。
 結局、行事は延期となったそうです。
日記の中で痔のことを書いたのはこの3日間だけだったようです。さすがに痛みと出血、そしてライバルである正武とのこともあって悔しい思いで、思わず書きとどめたのでしょう。
 さて、この時大岡忠相はどんな状態だったのでしょうか。1月という寒さや、おそらく新年を迎えて様々な公務が立て込み、ストレスが重なっていたのでしょう。こういったことが原因となって、もともと持っていた内痔核に血栓が詰まってしまい、激痛と出血が襲ったのでしょう。
江戸時代初期に、杉山和一(1610年~1694年)が書いた「療治之大概集」、「選鍼三要集」に脱肛や痔の項目があります。脱肛には百合、痔には腎愈・命門・長強・承山に灸を行っていたようです。
大岡忠相が活躍していたころも、根治的な治療ではなかったので、苦労をしていたでしょう。手術によって内痔核がすっきり治っていれば、「大岡裁き」はさらに鋭いものになっていたかもしれません。

大岡越前が悩んでいた、いぼ痔はどんないぼ痔だったか考えてみました。

大岡越前が悩んでいた「いぼ痔」はどんな「いぼ痔」だったか考えてみました。
「痔血走り」という記述があります。排便時にシャーっと出血したのでしょう。そうすると、ある程度病状が進んだ内痔核だったと思います。排便時の内痔核を押しつぶすように便が出ることで、「痔血走り」のような出血をします。ですから内痔核の第Ⅱ度以上だったのではないかと思います。第Ⅱ度は排便時に出血したり、内痔核が肛門の外に出る(脱出)も、自然に肛門内にもどる程度の内痔核です。
さらに「肛門の激痛で目が覚め」とあります。内痔核は基本的に痛みの無い病気です。排便時に痛みなく出血したり、痛みなく、脱出してきます。内痔核以外になにか起きた時に痛みが出てきます。
内痔核に血栓が詰まった時に、激しい痛みが出てきます。このような状態になった内痔核を陥頓痔核と言います。
おそらく、大岡越前は第Ⅱ度の内痔核を持っていて、ストレスなどが重なって、内痔核に血栓が詰まって激痛が出たのではないかと推測します。
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内痔核の程度で治療が決まります。

内痔核治療は、内痔核の程度で決まってきます。
第Ⅰ度の内痔核は、軟膏やパオスクレ―による痔核硬化療法。
第Ⅱ度の内痔核は、パオスクレ―による痔核硬化療法や輪ゴム結紮法
第Ⅲ度、第Ⅳ度の内痔核は、輪ゴム結紮法、ジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法、痔核根治術
と言ったように、内痔核によって治療法は違ってきます。内痔核の程度をしっかり診断して、適切な治療法を選択する必要があります。
大岡越前が患った陥頓痔核の場合は、痛みが強い場合は、痔核根治術をおこなって内痔核を切除するか、直ぐに手術をせずに、消炎鎮痛剤の坐薬等をつかって、一端痛みなどを取り除いてから内痔核の状態で治療方法を選択することになります。

しっかりした診断で、適切な治療をしましょう。

内痔核(いぼ痔)はその時の内痔核の病状、程度によって治療方法が決まってきます。その時の内痔核の状態を、しっかりした診断し、適切な治療を選択していく必要があります。
大岡越前も悩んでいた内痔核で悩んでおられるかたは、悩みを解決するために、肛門科専門の渡邉医院(京都)で一度診察を受けてみて下さい。

医院情報

店舗名渡邉医院
住所 京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル竪亀屋町255
TEL075-441-4303
URLhttp://www.watanabe-arc.jp
営業時間【月~土 午前】9:00~12:00 【月・金 午後】17:00~18:00
営業日休診日 : 日曜日・祝祭日
紹介文肛門疾患に特化した、肛門科専門の19床の入院設備のある有床診療所です。外来の診察だけでなく、入院での手術・治療が可能です。年間約3,000人の新患の患者さんが受診されています。排便時の出血、痔核の脱出、痛み、かゆみなど肛門に係る不快な症状でお悩みのかたの治療を行っています。また、肛門疾患の原因でもある便秘の相談、治療も行っています。手術の件数は、月平均約50件、年間約600例です。肛門の三大疾患といわれている内痔核が50%、痔瘻が15%、裂肛が13%で、その他に外痔核が13%、その他9%の割合になっています。 お尻のことで悩み事があれば、ご相談ください。