肛門専門科_京都市

痔から出血!

「痔から出血した!」とか、「排便時に出血した。」、「便に血が付いていた。」、「排便後トイレットペーパーで拭いたら血が付いていた。」という訴えで渡邉医院を受診される方がいます。
便をした時に出血。とてもびっくりしますし、また「痔だろう。」と思っても、「悪い病気があったらどうしよう。」と不安になることがあると思います。
便をした時に出血する。出血するということは、便が出る時にどこか傷がついたとか、出血する病気があるということです。
痔など肛門の病気での出血の場合は、鮮血のことが多いです。
肛門の病気によって出血の仕方や痛みの有る無しが決まってきます。
排便した時に出血する肛門の病気は大きく二つあります。一つは内痔核(いぼ痔)、もう一つは裂肛(切れ痔)です。
それぞれの病気で出血の仕方、痛みの有無に違いがあります。それぞれの病気についてお話しします。

内痔核(いぼ痔)からの出血

内痔核(いぼ痔)からの出血の場合は、痛みがなく出血することが特徴です。
「いぼ痔は痛い!」と思っている方が多いですが、内痔核は内痔核だけでは痛みがない病気です。内痔核に血栓(血豆)が詰まったり、裂肛(切れ痔)を併発すると痛みが出てきます。
内痔核の出血は、排便後にトイレットペーパーで拭いたら血が付いたり、便に血が付いている程度の出血から、排便時にポタポタ便器に血が落ちたり、内痔核の具合が悪くなると、排便時にシャーっと音がするように出血することもあります。
内痔核からの出血で直ぐには貧血になりませんが、長年出血が続いていたり、内痔核の具合が悪く、毎回シャーっと出血するようになると、貧血が進んでしまうことがあります。
また、内痔核からの出血は痛みがないため、「直腸癌など悪い病気があって出血したのかな?」と不安になることがあります。
こんな風に、内痔核は痛みなく出血するのが特徴です。
治療に関しては、内痔核は悪い病気ではありません。出血している内痔核があるから直ぐに手術ということにはなりません。出血を止める方法にはいろいろあります。軟膏で治療したり、痔核硬化療法と言って内痔核に注射をして出血しないようにしたり、場合によっては内痔核の程度では手術になることもあります。
内痔核の治療は、自分の持っている内痔核の程度で治療が決まります。
内痔核の症状で一番軽い初期の状態が第Ⅰ度で、第Ⅰ度から最も症状の強い第Ⅳ度の四段階に内痔核の程度は決めています。この病気の程度で治療は決まります。
1)第Ⅰ度の内痔核
第Ⅰ度の内痔核は排便時に痛みなく出血する。肛門に何か挟まったような違和感がある。
2)第Ⅱ度の内痔核
第Ⅱ度の内痔核は排便時の出血だけでなく、排便時に内痔核が外に出てくるようになります。でも直ぐに自然に内痔核が中に戻る程度の内痔核。
3)第Ⅲ度の内痔核
第Ⅲ度の内痔核は排便時の出血だけでなく、排便時に内痔核が外に出て、自然には戻らず指で押し込まなければ中に戻らない程度の内痔核。
4)第Ⅳ度の内痔核
第Ⅳ度の内痔核は、常に内痔核が外に出ていて、押し込もうと思っても押し込むことができない程度の内痔核。
この四段階に分かれます。ただ、内痔核だけですと、第Ⅳ度の内痔核になっても痛みはありません。
治療は第Ⅰ度の内痔核では、軟膏などの外用薬か痔核硬化療法。
第Ⅱ度は痔核硬化療法か輪ゴム結紮法。第Ⅲ度は輪ゴム結紮法、痔核根治術、ジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法(ALTA療法)。第Ⅳ度では痔核根治術、場合によっては輪ゴム結紮法。
この様な治療方法になります。
今ある内痔核の状態に合わせて、最も良い治療法を選択していくことが大事だと思います。

裂肛(切れ痔)からの出血

裂肛(切れ痔)からの出血は、ないじかくからの出血と違って痛みが伴います。
便が硬かったり、反対に下痢をした時など、便によって肛門の皮膚の部分(肛門上皮)に傷がつく病気です。
肛門上皮に傷がつくため、裂肛の場合はいたみが伴っての出血になります。
裂肛の場合の出血は、内痔核と違ってあまりポタポタ便器に血が落ちるような出血はありません。大抵が排便後にトイレットペーパーで拭いた時に血が付いたり、便に血が付いたりする程度の出血のことが多いです。でも傷のつき具合で、拭いても拭いても血が付くとか、場合によってはポタポタと便器に血が落ちる場合もあります。
排便後、洗浄した時に痛みがあるという症状がでることもあります。
でもやはり裂肛は肛門上皮に傷がつくので、痛みを伴っての出血です。
裂肛もその病気の程度で治療方法は変わってきます。裂肛を繰り返すことで、肛門の緊張が強くなったり、また、裂肛が原因で肛門ポリープが出来ることがあります。こういった状態になった裂肛を慢性裂肛と言います。こういった場合は裂肛根治術が必要になりますが、大抵の場合は、排便の状態をよくして、軟膏をつけることで良くなります。
便秘の人は柔らかく具合よく便が出るように便秘を治していく。反対に下痢の人も柔らかく形の有る便が出るようにする。こういった裂肛の原因を治すことで、裂肛は治っていきます。
裂肛は痛みを伴って出血します。早めに排便の状態を良くするなど治療をしていくことが必要だと思います。

出血した時は我慢せず受診を

排便時に出血する肛門の病気には、大きく内痔核(いぼ痔)と裂肛(切れ痔)があります。それぞれ出血の仕方や痛みの有無など、特徴があります。
またこれ以外の病気でも出血することはあります。さらに直腸癌など悪性の病気が隠れていることもあります。
排便時の出血。やっはり気持ちのいいものではありません。
「痔からの出血だろう。」と思いながらも、「悪い病気だったらどうしよう。」という気持ちもあります。なかなか肛門科を受診するのには勇気がいるかもしれません。でも勇気を出して肛門科の門をくぐってみて下さい。
出血の原因はなにか。その病気、病気の程度で一番良い治療方法は何か。など、一緒に考えていきましょう。
「便をしたら出血した!」といった症状でお悩みの方は、肛門科専門の渡邉医院(京都)でご相談下さい。
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医院情報

店舗名渡邉医院
住所 京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル竪亀屋町255
TEL075-441-4303
URLhttp://www.watanabe-arc.jp
営業時間【月~土 午前】9:00~12:00 【月・金 午後】17:00~18:00
営業日休診日 : 日曜日・祝祭日
紹介文肛門疾患に特化した、肛門科専門の19床の入院設備のある有床診療所です。外来の診察だけでなく、入院での手術・治療が可能です。年間約3,000人の新患の患者さんが受診されています。排便時の出血、痔核の脱出、痛み、かゆみなど肛門に係る不快な症状でお悩みのかたの治療を行っています。また、肛門疾患の原因でもある便秘の相談、治療も行っています。手術の件数は、月平均約50件、年間約600例です。肛門の三大疾患といわれている内痔核が50%、痔瘻が15%、裂肛が13%で、その他に外痔核が13%、その他9%の割合になっています。 お尻のことで悩み事があれば、ご相談ください。