肛門専門科_京都市

ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法ってどんな治療?

 ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法は、内痔核(いぼ痔)の治療方法です。内痔核の治療方法は内痔核の程度できまります。排便時に内痔核が脱出して押し込まないと戻らない内痔核を第Ⅲ度の内痔核、常に内痔核が脱出したままになっているものを第Ⅳ度の内痔核と言います。この第Ⅲ度以上の内痔核に対してこの四段階注射法は適応があります。
 今まで、痔核根治術といって手術で治らなかった内痔核をこの四段階注射法で治すことが出来るようになりました。全ての内痔核がこの四段階注射法で治るわけではありません。万能ではありません。でもしっかり診断して適応がある内痔核に四段階注射法で治すと、傷が出来ず痛みなく治していくことが出来ます。

ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法は、痛みなく治すことができます。

ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法は手術と違って、傷ができませんので、痛みなく治すことができます。
当院では、肛門のところの局所麻酔を行って四段階注射法を行います。これは、四段階注射法が痛いから麻酔するわけではありません。肛門に局所麻酔をすることで、肛門の緊張をとって、痛みなく十分に肛門を広げ、内痔核が良く見えるようにするためです。
注射する場所は1カ所の内痔核に対して①内痔核の奥、根元。②内痔核の深い部分。③内痔核の浅い部分。④内痔核の肛門の出口に近い部分の4か所に注射していきます。四段階に分けて4カ所に注射するので、四段階注射法と言います。この4か所は、痛みを感じない部分なので、注射は痛くありません。刺した針が深く筋肉までいったり、肛門の皮膚の部分に注射すると痛みがあります。この痛みを感じる部分に注射してはいけないので、注射をされていて痛みが出た時はすぐに「痛い」と申し出て下さい。
四段階注射法は痛みを感じない部分に注射するので、麻酔がきれても痛みはありません。

どんな内痔核(いぼ痔)注射するの?

ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法の適応は第Ⅱ度と第Ⅲ度、場合によっては第Ⅳ度の内痔核に適応があります。今まで痔核根治術をしなければ治らなかった内痔核を治すことが出来ます。
排便時に出血する第Ⅰ度の内痔核や第Ⅱ度の内痔核はパオスクレ―という痔核硬化剤で治すことが出来ます。
ただ、全ての内痔核を治すことができません。万能ではありません。適応がある内痔核かどうかをしっかり診断することが大切です。

どんなふうに効いて治っていくの?

ジオンの内容は、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸が含まれています。硫酸アルミニウムカリウムは明礬のことです。ナスのお漬物の紫色をきれいにしたり、お芋を煮る時に型崩れしないようにするときに使う明礬です。
この硫酸アルミニウムカリウムが痔核の間質に炎症を起こさせ、この炎症が治まり、肉芽腫形成、線維化を起こさせます。そして内痔核の硬化・退縮を起こさせ治していきます。感じとしては、怪我が治った時、一端硬くなり、周りといろもちがうところが、時間と共に柔らかく治り、回りと同じようになっていく。そんな感じです。
ただ硫酸アルミニウムカリウムだけですと、激しく炎症を起こし、組織傷害が起きてしまいます。そんな過度な急激な炎症を起こすのを抑制して具合よく治るように調整してくれるのがタンニン酸の役割です。
この硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸が具合よく相互の作用で内痔核が治っていきます。

全ての痔に有効ですか?副作用はありますか?

ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法はすべての内痔核を治すわけではありません。この注射では治らない内痔核もあります。適応をしっかり診断することが大切です。
またジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法は内痔核の治療方法です。外痔核や、内痔核でも外痔核成分の多いもの、肛門ポリープや皮垂(しわ)などは適応にはなりません。
また、副作用には注射している時、また注射した後に血圧が低下したり、脈が遅くなって、気分が悪くなることが1%ですがあります。一過性ですが、こういったことが起きることがあるので、四段階注射法を行う時は点滴をしながら行います。ただ、この血圧低下や除脈は四段階注射法だからというわけでなく、直腸を刺激することによる反射でおきるのだと思います。特にお薬を投与しなくても自然に回復していきます。
また38度代の発熱が起きることが起きます。当院では約4%の患者さんに起きています。発熱する時期は、注射をした当日~1日目か注射してから10日ごろに発熱することが多いです。
また、注射を適切に行わなかった時などに直腸潰瘍や直腸狭窄を起こすことがあります。いずれも自然に軽快していきます。
こういったことがあるので、痛みがなくても、しっかりと経過を診ていくことが大切です。
ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法にはメリット、デメリットがあります。痔核根治術(手術)も同様です。
手術の場合は内痔核を切除するので、手術が終わると内痔核はなくなります。手術の後は、傷が具合よく治っていくのを診ていきます。四段階注射法は注射するだけなので、注射修了時にはまだ内痔核があります。ジオンの効果で具合よく内痔核が治っていくかを診ていくのが四段階注射法です。
痔核根治術はどんな内痔核に対しても行えるオールマイティな治療法ですが、四段階注射法は全ての内痔核を治すことができません。
しっかり診断して適切な治療方法を選択することが必要です。

体に負担がかからない、低侵襲な治療ってなに?

上の図にもありますが、体に負担がない、低侵襲な治療って何でしょう?
痛みがないから低侵襲、体に負担がないということでしょうか?
手術の場合は、確かに術後の痛みや出血が伴います。でも四段階注射法による痔核硬化療法も、急激な過度な炎症が起き組織相ががおきることがあります。また、手術で治すものを注射で治します。注射した局所ではやはり激しい変化が起きています。
こういったことをしっかり認識することも大切だと思います。
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しっかりとした診断、そして治療方法を選択しましょう。

最後に、やはりしっかりとした診断とそして治療方法の選択が大切です。
1)自分の病気は何か?内痔核なのか。
2)内痔核であったら、その内痔核の程度は?
3)内痔核の場所は?何か所なのか?
4)治療方法は何が一番いいのか?
このようなことをしっかり診断して、最適な治療方法を選択していくことが大切です。
内痔核でお悩みの方は、ジオンによる四段階注射法(ALTA療法)の適応の有無を含めて、肛門科専門の渡邉医院(京都)でご相談下さい。

医院情報

店舗名渡邉医院
住所 京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル竪亀屋町255
TEL075-441-4303
URLhttp://www.watanabe-arc.jp
営業時間【月~土 午前】9:00~12:00 【月・金 午後】17:00~18:00
営業日休診日 : 日曜日・祝祭日
紹介文肛門疾患に特化した、肛門科専門の19床の入院設備のある有床診療所です。外来の診察だけでなく、入院での手術・治療が可能です。年間約3,000人の新患の患者さんが受診されています。排便時の出血、痔核の脱出、痛み、かゆみなど肛門に係る不快な症状でお悩みのかたの治療を行っています。また、肛門疾患の原因でもある便秘の相談、治療も行っています。手術の件数は、月平均約50件、年間約600例です。肛門の三大疾患といわれている内痔核が50%、痔瘻が15%、裂肛が13%で、その他に外痔核が13%、その他9%の割合になっています。 お尻のことで悩み事があれば、ご相談ください。