内痔核(いぼ痔)を注射で治す方法があります。痔核硬化療法といいます。
内痔核に痔核硬化剤を注射して、瘢痕退縮させて治す(かためて治す)治療方法です。痔核硬化療法と「硬化」と書きますが、硬くなったまま治るのではありません。例えば、けがをした時、傷が治っても最初は周りと違って硬いですよね。それが時間がたつと周りと同じように柔らかく治っていきます。これと同じように、一端硬くなりますが、段々柔らかくなって治っていきます。
また、内痔核は痛みのない部分にできます。ですから痔核硬化療法も痛みを感じない部分に注射しますから、痛みはありません。
手術と違って傷ができませんので、痛みなく楽に治すことができます。
でも、全ての内痔核が痔核硬化療法で治すことはできません。しっかり適応があるかどうかを診断する必要があります。
内痔核は痛みの感じない部分にできます。ですから痔核硬化療法は痛くありません。
痔核硬化療法には保険適応になっている方法が二種類あります。
1)パオスクレ―による痔核硬化療法
2)ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法
この二種類があります。
1)のパオスクレ―という硬化剤の内容は、アーモンドオイルの中に5%の割合でフェノールが混ざっている痔核硬化剤です。内痔核にこのパオスクレ―という硬化剤を注射することで内痔核を治していきます。適応は第Ⅰ度と第Ⅱ度の内痔核です。特に出血にに対して有効で、排便時に脱出する内痔核に対しては第Ⅱ度までです。パオスクレ―のなかのアーモンドオイルが直接内痔核を作っている血管を圧迫すること、フェノールが炎症を起こさせて内痔核を硬化させ治していく方法です。
2)のジオンの内容は、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸が混ざっている硬化剤を1カ所の内痔核に4段階に分けて4カ所注射して治していく方法です。硫酸アルミニウムカリウムは明礬のことです。ナスのお漬物の紫色をきれいにしたり、お芋を煮る時に型崩れしないようにするために使ったりします。その硫酸アルミニウムカリウムが炎症を起こさせ硬化させ治していきます。タンニン酸は血管を収縮させる作用があるので出血が治まったり、もう一つの役割は硫酸アルミニウムカリウムだけを注射すると、激しく炎症を起こすので、タンニン酸が硫酸アルミニウムカリウムがじわじわ効いてくるように調整する作用があります。この硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸の2つが具合よく作用して内痔核を治していきます。ジオンの適応は第Ⅱ度と第Ⅲ度、場合によっては第Ⅳ度の内痔核に適応があります。今まで痔核根治術による手術が必要であった内痔核をこのジオンで治すことができます。
ただ、全ての内痔核を治すことができません。万能ではありません。適応がある内痔核かどうかをしっかり診断することが大切です。
パオスクレ―による痔核硬化療法は入院の必要はありません。外来での治療になります。痔核硬化療法を施行した後、5~10分程度外来で休んでもらってから帰っていただきます。特に生活の制限はありません。入浴も可能です。また当日排便があっても大丈夫です。ただ、痔核硬化療法を施行した当日だけはアルコールの摂取は控えてもらっています。
ジオンによる痔核硬化療法は、第Ⅲ度以上の内痔核に適応があり、内痔核に対してしっかり注射がしたいので、麻酔をして十分に肛門が広げられるようにしてから痔核硬化療法をします。当院では局所麻酔で行っています。また、痔核硬化療法をしている際に手術と同様に血圧が下がったり、脈が遅くなって気分が悪くなることが1%あります。このため点滴をしながらの痔核硬化療法になります。そのため、原則は1泊2日の入院での治療になります。ただ患者さんの状況に合わせて日帰りでの痔核硬化療法も行っています。これは、患者さんと相談しながら決めています。
内痔核の治療方法にはいろんな治療方法があります。パオスクレーによる痔核硬化療法は昔からある治療方法です。ジオンは消痔霊という薬剤がもとになっています。消痔霊が脱出してくる内痔核、今までは手術をしなければ治らなかった内痔核を注射で治すことができるということで、どういった成分がどのように作用して治していくのか。またどのような副作用があるのかを調べできた痔核硬化剤です。発売されてからもう12年がすぎました。内痔核の治療法もずいぶん進歩してきました。内痔核によっては痛みなく楽に治すことが出来るようになりました。内痔核がどんな内痔核なのか、痔核硬化療法で治療が可能な内痔核なのか。しっかり診断することが必要です。
出血や脱出などの痔の症状でお悩みの方は、肛門科専門の渡邉医院(京都)で御相談下さい。
店舗名 | 渡邉医院 |
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TEL | 075-441-4303 |
URL | http://www.watanabe-arc.jp |
営業時間 | 【月~土 午前】9:00~12:00
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営業日 | 休診日 : 日曜日・祝祭日 |
紹介文 | 肛門疾患に特化した、肛門科専門の19床の入院設備のある有床診療所です。外来の診察だけでなく、入院での手術・治療が可能です。年間約3,000人の新患の患者さんが受診されています。排便時の出血、痔核の脱出、痛み、かゆみなど肛門に係る不快な症状でお悩みのかたの治療を行っています。また、肛門疾患の原因でもある便秘の相談、治療も行っています。手術の件数は、月平均約50件、年間約600例です。肛門の三大疾患といわれている内痔核が50%、痔瘻が15%、裂肛が13%で、その他に外痔核が13%、その他9%の割合になっています。
お尻のことで悩み事があれば、ご相談ください。 |