便秘は、痔になる一番の原因です。便が出にくくてグッと頑張ると、内痔核（いぼ痔）の原因になったり、また、硬い便が出る時に肛門が裂けて裂肛になったり。肛門の病気、痔の原因になります。
痔の治療や予防には、具合よく便が出ることがとても大切になります。
具合良く便が出るためには、便に関しては、便の中に十分な水分が含まれ、また便の量を増やすために食物繊維を十分に摂る必要があります。水分を十分にとること、食物繊維をしっかり摂ること。この二つのことが大切で、どちらが欠けても快便にはなりません。水分をしっかり摂っても便のもとになる食物繊維が少なければ、便の量が少なくなり、出にくくなります。また食物繊維だけを十分にとっても、その中に十分な水分がなければカチカチの便になってしまいます。
今回は、便の量を増やすことについてお話しします。
快便の秘訣の一つに、便のもとになる食物繊維を十分に摂って便の量を増やすことが大切です。

便秘の改善には、食物繊維をしっかり摂ることが必要です。
便の量を増やすと言っても、「たくさん食べましょう。」ではありません。いくらたくさん食べても、柔らかくて消化の良いものをたくさん撮っても、便のもとになる食物繊維が少なければ、いくら食べても便の量は増えません。同じ量の食事を摂っても食物繊維が多ければ便の量は増えます。
最近は、食物繊維の摂取量が少なくなっている傾向があります。1940年代は、食物繊維の摂取量は1日に27gでした。それに比べて現在は食物繊維の摂取量は1日に10g以下に減少してしまっていることがあります。これは、食生活の欧米化や、肉や乳製品の摂取量が増えたり、雑穀や玄米だったのが、精米を摂るようになったことも食物繊維の摂取が減ってしまった一因です。

なぜ便の量を増やすことが大切かについての実験があります。
ラットやモルモットの大腸に水を注入して水圧で大腸を伸展させることで、大腸の蠕動運動は延々に続きます。大腸に注入した水を抜いて圧をとり、大腸の拡張を取り除くと、直ぐに大腸の蠕動は止まってしまいます。
この実験からも、大腸を伸展させることで大腸の蠕動運動が起きることがわかります。
大腸の中の便の量が少ないと、大腸は動いてくれません。便の量を増やすことで、便そのものが大腸を刺激して大腸の動きを良くしてくれます。
食物繊維をしっかり摂って、便の量を増やすことで、大腸の蠕動が促されて便が具合よく出てくれます。

大腸の蠕動を促すためには、便の量を増やすことが大切です。
大腸の蠕動運動を起こさせるには、大腸を伸展させることが必要になります。そして大腸の伸展を起こさせる重要なものは、便の量を増やすことです。
便の量を増やすことは、すなわち十分な食物繊維を摂ることにつながります。
便秘を治そうと思って、柔らかくて消化の良い食事を摂ると、逆に便秘になってしまいいます。便秘を解消するには、消化も吸収もされず、便の基になる食物繊維を十分に摂る必要があります。
日々の食生活の中に、食物繊維が十分に含まれているものを摂ることが大切です。

おなかスッキリレシピを紹介します。

「マグロとアボカドのユッケ風」

材料（4人分）1人分：193kcal　食物繊維　1.2ｇ
マグロ（お刺身用）　1パック
アボカド　　　　　　1個
レモン汁　　　　　　小さじ1
コチュジャン　　　 大さじ1　
醤油　　　　　　　大さじ2
みりん　　　　　　大さじ2
おろしにんにく　　1片
ごま油　　　　　　小さじ1
煎りゴマ　　　　　　少々
きざみ海苔　　　　　少々

作り方
①アボカドは角切りにしてレモン汁をまぶしておく。
②マグロは2㎝角の角切りにし、①と共に★を混ぜ合わせたタレに10分程漬けておく。
③器に盛り、ゴマときざみ海苔を散らしたら出来上がり！

管理栄養士さんから一言

●○栄養メモ○●
アボカドは「森のバター」と言われるほど脂質の多い果物ですが、食物繊維の量も負けてはいません。便を柔らかく出しやすくする食物繊維と、腸のすべりを良くする質の良い脂質のダブル効果で便秘を防いでくれますよ☆



頑固な便秘、高血圧、高血糖などでお困りの方、食生活を見直してみませんか？一人一人に合った食事のとり方をアドバイスします。まずはお気軽に肛門科、渡邉医院（京都）にご相談ください。