肩こり

「肩こり」は大人ならほとんどの人が一度は経験した事のある症状ではないでしょうか?。自覚症状があるかを調べたところ、「肩こり」は男性では腰痛に次いで2番目に多く、女性では最も多い症状でした(「平成25年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)」)。国民的な症状と言えるこの「肩こり」ですが、どのようなメカニズムで肩こりの症状が発生し、またその原因は何なのかについては以下の通りです。

最近ではPCやスマホの使い過ぎから「スマホ肩こり」などと言われている「肩こり」とは病名ではなく症状です。また明確な定義があるわけではなく、人それぞれが独自に自分に起こっている症状を表現しています。「こり」「張り」「重だるさ」「こわばり」「つっぱり感」「痛い感じ」「違和感」などで表現される事が多いです。
ちなみに欧米では日本で言う「肩こり」と一致する症状名はありません。「肩こり」という表現や概念自体がなく、日本独特の症状名と言えます。先述したように、肩こりの訴えは一定ではなく人によって様々で、他覚的な所見も乏しく医学的な診断を重んじる西洋医学では病気として捉えられない事が多いため病名として扱われておりません。
そういう観点から言えば欧米人は「肩がこらない」わけではないのです。

肩こりに一番関係する筋肉は、首の後ろから肩〜背中にかけての筋肉で「僧帽筋」と呼ばれている筋肉と言われています。その他、もっと深い位置に「肩甲挙筋」や「頭・頚板状筋」などもあり、これらの筋肉が重さ5〜6キロの頭蓋骨をそれらの首の筋肉で支えています。重たい頭を支え、腕を動かしたりする際にも筋肉を使いますので、常に筋肉は緊張しています。筋肉は緊張し疲れて硬くなります。硬くなると筋肉内を通っている血管を圧迫して血液の循環が悪くなり筋肉に十分な栄養がいきわたらず筋肉疲労がたまります。筋肉疲労がたまることでますます筋肉が硬くなり「肩こり」という症状を起こします。また、それがさらに酷くなると筋肉が硬くなり抹消神経を障害ししびれや痛みも起こります。

筋肉が硬くなり血流悪化や抹消神経障害が原因で起こる肩こりですが、肩こりは大きく分けると3つに分類する事ができます。1つは原因疾患が明らかではないもの、1つは整形外科疾患が元で起こるもの、1つはその他の疾患に伴い起こるものです。

①原因疾患が不明と曖昧にされているもの

精神的なストレス
悪い姿勢
目の疲れ
運動不足
筋肉が過剰な負荷やストレスを受けて、緊張が極度になり疲労が起こり、血流が悪くなり肩こりを起こします。悪い姿勢や運動不足は典型的な肩こりの原因です。特に近年はパソコンで仕事をする事が多く、同じ姿勢で作業をしたり、画面を凝視する事によ目に疲れがたまります。パソコン作業の時は腕を前へ出すため肩は前かがみになりがちです。またスマートフォンの増加による「スマホ猫背」と言われるようなこの姿勢を長時間とることで、頭を支える肩から首にかけての筋肉に負担がかかり肩こりが起こります。その他、身体的なものではなく精神的なストレスも肩こりになる事は実体験から理解している方も多いと思いますが、精神的なストレス受けると、交感神経が優位となり特に首から肩にかけての筋肉が緊張し肩こりが起こりるケースもあります。

大多数の「肩こり」を訴える患者さんは、この分類に入ります。

②整形外科疾患からと考えられるもの

変形性頸椎症
頸椎椎間板ヘルニア
頚肩腕症候群
肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
これらのような整形外科疾患が原因となり、随伴症状として肩こりが起こっている場合もあります。頚には、頸椎(けいつい)と呼ばれる骨があり筋肉と共に頭を支えています。この頸椎に変形があったり、頸椎と頸椎の間でクッションの役割をする椎間板に変形が起こったりする事で変形性頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアになります。そのまわりに痛みやしびれが起こり、いわゆる「肩こり」の症状が起こります。その他、頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)や肩関節周囲炎なども「肩こり」を伴う疾患です。

③その他の疾患に伴って起こるもの

高血圧症
狭心症
貧血
更年期障害
うつ病
整形外科領域の疾患以外でも「肩こり」を伴う疾患があり、注意が必要です。高血圧や狭心症など循環器系の内科的疾患でも肩こりを起こすことがあります。

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