テニスではいかに速く反応して動くことができるかが勝負になります。少し言い方を変えると瞬間的な力の発揮能力が大切になってきます。1歩目の速さが重要となり、2つの要素が必要になります。1つ目の要素は「力を素早く立ち上げる能力」になります。筋力を発揮するスピードが遅いと反応も遅れてしまうので、トレーニングで力を素早く立ち上げる能力の向上を目指します。
　2つ目の要素は「力の発揮方向や身体の使い方」です。「姿勢や構え、足の向き」、「どのように動かすか」といった身体の使い方、仕組みを考えながらトレーニングを行う必要があります。

力を素早く立ち上げる能力を高めるためには多くのモーターユニットが瞬時に動員される必要があります。
　モーターユニットとは「1本の運動神経とそれが支配している筋繊維」のことです。モーターユニットの数や神経が支配している筋繊維の数は筋肉の部位によって異なり複雑な動きをする部位はモーターユニットの数が多く、支配する筋繊維は少なくなります。また大腿四頭筋などの大きな部位はモーターユニットの数は少なく、筋繊維数は多くなります。トレーニングを行う目的はモーターユニットの数を増やすトレーニングがパフォーマンスを高めます。複雑な動きをスクワット、ベンチプレスなどは動員されるモーターユニットは多くなります。プライオメトリクストレーニングは多くのモーターユニットを動員することができます。瞬間的に大きな力を発揮できるトレーニングの積み重ねが1歩目の速さのポイントになります。

「姿勢や構え、足の向き」、「どのように動かすか」といった身体の使い方を理解してトレーニングの中で再現できるかが大切です。トレーニングの基本的な動きを覚えたら次のステップとして身体の使い方に意識を向けてトレーニングを行います。ウエイトトレーニングでもフリーウエイトを行います。マシントレーニングがダメではなく、あくまでも力の発揮や身体の使い方を覚えて実践する目的の場合になります。またウエイトよりフットワークトレーニングをおすすめします。各競技でステップなどに動きの違いはありますが様々なフットワークトレーニングを行うことで「姿勢」、「構え」、「足の向き」、「足の動かし方」などを身につけることでプレーの中での選択肢も増えてきます。

ポーツパフォーマンス向上には様々な要素が関わっておりバランスが大切になってきます。
　上記のパフォーマンスピラミッドを見ていただくとお分かりいただけるように土台となるのは「POSITION」であります。そして「PATTERN」、「POWER」、「SKILL」とピラミッドの頂点に近づくほど面積は小さくなっていきます。トレーニングはこれらのバランスを保ちながら行う必要があります。ピラミッドの形が逆になってはダメです。実際にトレーニングプログラム作成となるとこれらのバランスを保つことは難しいです。まずはスポーツパフォーマンス向上に何が必要であるか知っておきましょう!!