ただそれと同時にＸＪが失ったものは多い。
車高が低く細長い美しいデザイン、ローデッキなリアエンド、そして短いホイールベースが生み出すＬセグメントカーらしからぬ軽快感のある走り。この二つはＸＪがＸＪであるためのかなり重要な要素だった。
世界中を見渡しても先代までのＸＪのフォロワーというのはかなり多い。ある意味デザイナーにとってはやりたい放題の夢のデザインで「ジャガーみたいなクルマを作りたい」と言う気持ちを持ったデザイナーって多かったと思う。
例えば有名なところだとＥ３９までのＢＭＷ７シリーズあたりはずっとＸＪに対する憧れを捨て切れなかったクルマだったと思う。Ｅ３９だって細長いデザインを実現するためにかなり分厚いサイドシルを使って車高を低く見せることに徹してきた。
勿論それ以外でもＸＪの残した功績は大きくていたるところにその功績が垣間見える。
勿論新型になってクルマとしては大きな進化、しかも世界一と噂されるジャガーのシャシー実験部隊がろくでもない車を作るわけは無く現行はかなり出来は良いらしい。
これはフォードのリチャードパリージョーンズの功績によるものが多いだろう。
アウディーが頑なにその技術のメリットを認めたがらない「アルミモノコック」（フォードはその原価の高さにかなり躊躇したらしいけど）だったり現行でも比較的クラシカルなデザインだけど中身はかなりハイテク満載。

でも、やっぱり初めてのＸＪとしてはちょっと魅力に欠ける部分があると思う。
Ｘ３００やＸ３０８までの昔から続く昔ながらのＸＪを経験してからでないとなかなかそっちにいけないって言うのもあると思う。現行ＸＪはある意味先代、もしくはそれまでのＸＪを知っているが故に納得できるクルマなのかもしれない。先代ＸＪから乗り換えて始めて納得できるクルマなのかもしれない。
なのでＢＭＷの７やメルセデスのＳとぶつけて直接検討してるような人には多分向かない。ご新規さんにはある意味ちょっとディープ過ぎるのかも？

とまあそういうこともあってか無くてか新型ＸＪの価格、乗り出し価格が１００万円前後で手に届く。

ただその逆であえて程度の良い先代ＸＪにみるっていうのも実はお勧め。
個人的にはジャガー謹製ストレート６を積むＸ３００の上モノを狙うって言うのが一番お勧め。