神戸の中古欧州車販売店『ゼロカートラブル』が勝手に語るクルマのウンチクシリーズ

ご覧いただきありがとうございます。
このページでは大阪のちょっと変わった中古車販売店であるゼロカートラブルが好き勝手にクルマのウンチク語らせて頂きます。
欧州車とジャガーSタイプについて興味があって「まあ、読んでやらんこともない・・・」と言う心優しい奇特なお方がいらっしゃったら是非ご覧頂けましたら幸いです。
それでは、早速ですが始めさせて頂きます。

「この素晴らしき中古のジャガーSタイプ」

「この素晴らしき中古のジャガーSタイプ」
思わずルイ・アームストロングのあのメロディーが聞こえてきそうなタイトルだけれど、この記事を書いている僕の心情は彼の残した歌詞とそれほど大きな違いはないと思う。

ここで改めて言うと、決してそんなことはない。
確かに比較的近年でもV8を積み始めたモデルは弱点を抱えていないことはなかったし、70年代後半に品質が酷い時期もあった。
ただ、逆に言えばそういう一部のモデルを除けば実は輸入車の中でも「優等生」とも言える一面を持っている事はあまり知られていない。
また、新車価格に関してもメルセデスやBMWに比べると比較的安価に設定されていた事もあまり知られていない。
事実、今回記事にしているSタイプも欧米では同クラスのライバルよりも若干安価な価格設定で販売されていた。
と、言う事で今日はそんなジャガーのSタイプと言うクルマについて書いてみたいと思う。

時は1999年。
Lセグメントの高級サルーンたるXJとビッグクーペのXKと言う二本立てだったジャガーが投入した、メルセデスのEやBMWの5に対抗し得るために投入されたEセグメントサルーンがSタイプだ。
多車種をラインナップする今でこそ信じがたいかもしれないけれど、この頃のジャガーはXJとXKしかラインナップしておらず年間の生産台数もたったの4万台というかなりの小規模メーカーだった。
逆に言えば、たった二台のラインナップで会社を成り立たせていたのだからある意味大したものだと思う。
ちなみに現在はランドローバーと併せて58万台を販売するメーカーに成長している。

しかし、そんなSタイプの出足はあまり幸先の良いものではなかった。
お家の事情もあって新規にプラットフォームを開発することも叶わず、親会社であるフォードリンカーンLSと共用する事となった。
そのデザインこそジャガーらしいクラシカルで気品にあふれるものだったが、ドアを開けて室内に乗り込めばそれとなく漂うフォード臭に溢れるものだった。
残念ながらそこにそれまでのXJなどで見せていたようなジャガーらしい気品を垣間見る事は出来なかったのである。

あえて言うなら、決して悪いクルマでは無かったと思う。
クセこそ強いもののデザインはジャガーらしいクラシカルな気品に溢れていたしコンフォートさとスポーティーな奥ゆかしさを併せ持つハンドリングなんかも紛れもなくジャガーのそれで、キャラクターの違いを踏まえた上でも兄弟に当たるLSよりよく仕立てられていたと思う。
また、XJやXKより設計が新しい分高速域での巡行性能なども明らかに向上しているし気密性の高くなったボディーは静かで、あろうことか兄貴分にあたる当時のXJより静かだった。
けれど、性能こそ悪くはないものの「低速域でのしなやかな足捌き」や「しなやかながらも粘り腰」と言うジャガーが本来の「味」に関する部分において従来の顧客を満足させるに至ったかどうかと言えば正直に首を縦に振れなかった。
また、インテリアの質感とデザインにおいてはところどころに安っぽい樹脂が顔を出し、何処と無く漂うフォード臭が強くてXJやXKで見せていたようなジャガーの世界感を表現できていたかと言えばこちらも正直に頷けるものではなかった。
特にちょっとしたスイッチ類の操作感や質感や黒字の緑の液晶パネルなどにより一層リンカーンと兄弟を言うことを感じさせる部分も問題があったように思う。
決してリンカーンが悪いんじゃなくて、あくまでもブランド的にジャガーはジャガーであるべき必要があったんだと思う。
後にジャガー自身もフォードとのジョイントベンチャーが最初の頃はうまく行っていなかったと認めている。

大変身した中・後期型ジャガーSタイプ

そんなSタイプがデビューしてから4年後の2002年。
あろうことかジャガーはなんと構成部品の80%を刷新するという賭けに出てきた。
しかも、見た目で言えば余程目ざといクルマ好きかSタイプオーナーくらいしかわからない程度の差異(グリルの形状やドアミラーの形状の小変更)だったからジャガー自身もリリースしてからもハード面を改良したくて仕方なかったのだろう。

それで、2002年にリリースされた改良型のSタイプはどうだったのだろうか?
結論から言えばそれは大きな成功だったと僕は思う。
勿論、前期型のSタイプが性能面で見て必ずしも悪いクルマではなかったのは前途したとおりだ。
しかし、ただただジャガーとしての「味」の部分において些か物足りなかったのは残念ながら事実だった。
その変更のわかりやすい矛先はまずインテリアに向けられた。
半月型のセンターコンソールはジャガー伝統のスタイルへと改められた上で全体的な質感も大きく向上した。
スイッチ類の操作感や質感もジャガーらしい高級なものに置き換えられたし、細部のディテールなんかもちゃんと感心させられるレベルまで引き上げられた。
そして、結果的にそのインテリアの雰囲気は歴代のジャガーが「比較的安価ながらワンクラス上」と感じさせてきたものに共通する文法で纏められており、同クラスのライバルのインテリアが思わずつまらないと感じさせるレベルまで向上させていて、正直これはジャガーらしい「いい仕事」だと思った。

走らせても見た目は大して変わらないながらクルマが明らかに良くなっていることを感じさせた。
低速域でのしなやかなかつしっとりとした足捌きはジャガーらしい水準に届いていたし、それでいて飛ばすとジェントルながらスポーティーに立ち振る舞うと言うジャガーらしい乗り味は明らかに前期型よりもうまく表現されていたと思う。
また、ATも5速から6速に改められた。
ZF製の6HP26という6速ATが採用されたのだけれど、最近ありがちな「燃費性能のために愉しみを犠牲にして多段化した」と言うシロモノではなく、むしろジャガーV6のポテンシャルを上手く引き出すようなプログラミングで1.7トンにも達する車重を気持ちよくスイスイと走らせることに大きく寄与している。
この時代から2.5リッターも追加されたのだけれどこの優秀な6ATのおかげもあってこちらでもパワー不足を感じさせることは殆どなかった。
また、高速道路では100km巡行でもエンジンの回転数は1800回転ほどに留まり静かで快適なドライブを提供してくれる。
あと、この優秀なATの恩恵で高速だと燃費が矢鱈といいのもSタイプの中期型以降の特徴でもある。
それこそ、3リッターのモデルでも高速をおとなしく巡行すれば13~14km(個人的には都市高速だと14km以上を出せる)ほど走るし、信号が少ない道路環境に住んでる人間ならば意識して走れば下道でも10kmほど出せたりする事もしばしばだ。
こうして1998年にデビューしたSタイプは見た目こそほとんど変わらないものの中身は大きく刷新されたのであった。
また、信頼性に関しても明らかに02年以降のモデルの方が優れているように思う。

見た目もよりジャガーらしく

そんなSタイプも2004年に「見た目」の部分にもてテコ入れを始める。
良く言えば「アイデンティティー」で悪く言えば「クセ」だった部分を見直し、より万人受けのデザインへと変貌を遂げた。バンパーのデザインはスッキリとしたものに改められ、特徴的だったオーバル上のリアエンドのデザインも比較的一般的なものへと改められた。
どちらが良いかは好み次第だろうけれど、発売から5年が経過したモデルへの美容整形としてはかなり上手くやったと思う。
ちなみに、この時のマイナーチェンジは見た目の部分が殆どでハード面に関しては2002年に登場した中期型とほぼ同じと思って頂いて差し支えない。

あと、忘れちゃなイケナイのがSタイプR。
このクルマの事まで書き出すと恐ろしく長文になってしまうから割愛するけど、コイツのボンネットに押し込まれたXKR譲りの4.2リッターV8はスーパーチャージャーで武装され406psを叩き出す。
その速さはもはや「痛快」としか言いようのないものでこの手のクルマが好きな人間なら興奮を抑える事は出来ないだろう。
逆に、ジェントルに速いのが欲しいと言うことであれば通常の4.2でも十分過ぎる速さを備えている。
そちらも吹け上がりが軽くてトルクフルなので動力性能に関してはかなりのレベルに達している。

Sタイプについて徒然と書いてきたけれど、このクルマは中古車が素晴らしいというのもまた一つ良いところだ。
なぜなら、意外に信頼性が高い上に中古価格は思いの外お手頃だからだ。
乗り出し価格が60~70万円もあれば、十分に綺麗でじゅうぶんにマトモな個体を入手出来るのである。
この頃までのジャガーに共通するけれど、綺麗な歳のとり方をしていくデザインだと僕は感じる。
あと、ネットなんかで調べると足回りの修理で車検がディーラーで100万円コースとか言う恐ろしい話も耳にするクルマだけれど上手くやれば決してそんな事にはならないのでご安心を。
一般的な欧州車と大して車検費用は変わらず補修するノウハウはあるので困っている人は是非とも相談してほしい。
店舗名0CARTROUBLE(ゼロカートラブル)
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TEL06-6533-5045 *営業時間外は携帯へどうぞ 090-5040-2794
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営業時間11:00~20:00
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最寄駅大正駅
アクセス大正駅 徒歩10分
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