ゼロカートラブル店主の三上が勝手に語るクルマのウンチク

ご覧いただきありがとうございます。
このページでは大阪のちょっと変わった中古車販売店であるゼロカートラブルの店主である三上が好き勝手にクルマのウンチク語らせて頂きます。
欧州車とボルボ940について興味があって「まあ、読んでやらんこともない・・・」と言う心優しい奇特なお方がいらっしゃったら是非ご覧頂けましたら幸いです。
それでは、早速ですが始めさせて頂きます。

ボルボ940ってどんなクルマ

ボルボ940。
それは、よくクルマ好きの間で言われる「FRボルボ」としての最後の世代に当たるボルボ。
基本的には1982年にデビューした700シリーズが源流で、それを時代に合わせてアップデートしながら1990年から1998年まで生産された往年の当時日本でもよく売れたボルボの看板車種。
また、基本構成の多くを240と共用するクルマでその信頼性の高さや頑丈さは折り紙つきだ。
ネオクラシックな雰囲気を持ちながら、240を時代に合わせてアップデートしてある分乗りやすいし、中古車相場も240ほど高騰していないので僕個人としては結構オススメしたい一台だったりする。

往年のボルボらしくとにかく頑丈な設計。

ボルボというメーカーの設計思想だったりスタンスが一貫していた頃の最後のクルマといても過言ではない。
これ以降の850からは駆動方式もFF(前輪駆動)に転身して、デザインや雰囲気にもプレミアム感を纏う方向に進んだけれど、240や940の頃まではとにかく「頑丈で長持ち」する機関やボディーに故障しにくく故障しても直しやすいシンプルな設計が持ち味だった。
940と言うクルマは同時期に生産されていた240と多くの部分でパーツを共用しておりその頑丈さは往年のボルボそのものだ。
その設計のルーツを辿ると1982年まで遡ることとなる。
当時、ラインナップが旧態化していた200シリーズ(240のルーツ)から進化させるために「760セダン」をボルボはラインナップに投入した。
実質の所200シリーズの後継モデルに当たる新型車種だったんだけれど、200シリーズのセールスも相変わらず好調だったため「200シリーズの上級モデル、或いは何れ200シリーズに取って代わるクルマ」となどという歯切れの悪い言う触れ込みで6気筒のセダンから先んじて市場に投入された。
そして、200シリーズのラインナップを4気筒のセダンとワゴンのみに縮小して700シリーズは6気筒と4気筒、それぞれにセダンとワゴンと言うかたちでラインナップを拡充していったのである。
そして、1990年に前任モデルたる「740」のビッグマイナーチェンジ、或いは740の上級車種と言う触れ込みで940シリーズへとフェードインしていくのであった。
ちなみに、この頃のボルボは740と940はモデル年次上2年ほど併売された形となるので1990年から1992年の2年間は240,740、940と3世代のモデルが同時にラインナップされるという不思議なバリエーションで展開されていたのであった。
そして、740はモデル末期は値下げされ、その代わりに940は導入当初は比較的上級グレードの「B234」と呼ばれる16Vエンジンを搭載したGLEと読んで字のごとくターボチャージャーを搭載したターボのに種類のみが投入されていたので価格も当時の価格で車両本体価格550万円からスタートと言うなかなかの高級車だった。
恐らく、日本でのマーケティングとしてはデビュー当時は940の方が740より新しくてスムーズな「B234」エンジンを積んだモデルとターボで武装したモデルというカタチで目新しさと上級感を強調したかったのだろうというのが僕の推測。
なので、1992年に740がラインナップから外れるやいなや16Vの「B234」はラインナップから外れて740時代からのボルボお家芸である頑丈な「B230」に戻ったGLと言うモデルが追加されて価格も462万円からのスタートとなり、翌年には廉価版の「ポラール」が追加され価格も385万円から展開されることとなった。
円高の時期だったとは言え、デビューから2年でここまで価格設定が下がるクルマも珍しい。
そして、モデル末期が近づく1996年になると「TACK」(スウェーデン語で「感謝」の意味)と言う廉価モデルと「クラシック」と言う価格据え置きでオプション満載の2本ラインアップとなり価格も350~400万円と事実上の値引きが行われた。
ちなみに、エンジンラインナップとしては初期の「B234」と言う16Vエンジンを積んだモデルが導入初期のみ存在し(ほぼ残っていない)、後は240や740と同じ頑丈さに定評のある「B230」が搭載されている。
240の時代と違って多くのグレードがターボ仕様となっているのとターボ無しでもカムなどの変更で少々ながらパワーアップしているのが特徴だ。
130psのノンターボ、130psのロープレッシャーターボ、165psのターボに190psのハイプレッシャーターボ(ターボSEのみ)と言う展開だった。
ターボとノンターボが馬力は同じながらトルクのみターボの方が高くなっている。

で、実際の所乗るとどうなのか?

ここまで書いた所で勘の良い人ならお解りだろうが、940は往年のボルボと同様頑丈で長持ち、そして故障も少ないといえる部類のクルマだろう。
導入初期こそ新規メカニズムも導入されたものの、基本的には240→740→940と基本構成はそのままに順当進化してきたクルマなのである。
ラジエターファンが電動化したり点火システムに若干の変更が加えられたりギア比が見直されたりと、着実なアップデートが行われた。
また、ターボ化することによって頑丈ではあるものの鈍重なフィールが否めないB230をその高い耐久性はそのままに、現代の路上でもストレスが少なく走れるようにドライバビリティーの向上も行われている。
あと、クルマのモデルチェンジの仕方もこの頃のボルボはとても慎重だった。
240と940の二台を並べてみるとそのデザインはとても近似値が高い。
モールの配置だったりバンパーの形状だったりミラーのカタチだったり、そもそものボディー自体のデザインだったり・・・。
要はモデルチェンジと言ってもイメージもコンセプトも全くブレずに240(200シリーズ)をただただ慎重に時代に合わせてアップデートしたと言う印象が強い。
乗り味に関してもそれは同様で、ボルボとしては事実上前任機種に当たる240を「より使いやすくて乗りやすいクルマ」という風に進化させたかったんだろうなと感じる。
850がFFになり登場したときの様に、モデルチェンジしたとは言えそれまでの美点は全くと行っていいほどに失われていなかったのである。
参考までに、240と言うクルマは車格を考えるとリアシートのレッグスペースがやや不足している印象がある。
940は240より全長が7cm長くて485cmあるわけなんだけれど、その7cmは全てホイールベースに充てられているのだ。
結果的に940は240で不足していたレッグスペースを大幅に拡大することに成功し、リアシートの住人により快適な環境を与える事に成功した。
また、ホイールベースは延長しながらも240の美点の一つであった「最小回転半径4.9m」(トヨタカローラなんかと比べても小回りが効く)と言うよく切れるハンドルも10cmの拡大にとどめて「最小回転半径5.0m」としている。
それと、シンプルにクーラーの効きが良くなったり出足が良くなったり、はたまたボディーの気密性が向上して静粛性が高まったり、モデルによってはパワーシートやクルーズコントロールやオートエアコンなどの近代的な装備が追加され、940は240と比べると、まるで住み慣れた我が家をリフォームしてくれたようなクルマに仕上がっているのが940の特徴だ。

940と言うクルマの総評

ここまで話してお分かりいただけたことかと思うが、940と言うクルマは往年のボルボと同様頑丈で故障が少なく、それでいてそこそこ現代的な装備も備えた優秀なクルマだと言える。
また、「240が欲しいけれど相場も高めだし、家族で使うにはちょっとアレかな?」みたいな人にとってもうってつけの一台なのである。
装備もそこそこに充実しているし室内も広いし、エステートなら荷物も山盛り載せられるし「ちょっと変わったファミリーカー」として最適な一台である。
価格もとりあえず乗り出し80万円もあればそこそこのものが買えるし、それでいてこの世代の輸入車にありがちなトラブルの少なめ。
240と同じで輸入車で経験しがちなパワーウインドウのトラブルやミッション(トヨタのアイシン製で機械式4段)のトラブルというものともあまり縁がない。
強いて言えば、ドア内張にシワが入ったりシフトレバーがひび割れたりする事がよくあるので神経質な人にはあまり勧めしないけれど、「プロボックス買ったくらいの気持ちでラフに乗る」と思える人からすればこれほどに素晴らしい選択肢もなかなかないことだろう・・・。
ウイークポイントはメカニズムの多くを共用するだけあって240に準ずる部分も少なくない。
タイミングベルトの交換は6万キロサイクル(万が一切れてもバルブクラッシュしないので240とお同じくエンジンが壊れない)でエンジン停止に繋がる定番ポイントはクランク角センサーやフューエルポンプリレーなどだ。
あと、240と比べると心なしかプラグコードのセンターコードが早々にリークしやすい印象があるのでこちらも乗り始める前には新調しておきたいポイントだ。
あと、燃料ポンプは年式によるけれど途中からインタンク化されていてこれは残念ながら240の時代のようにあまり長持ちするシロモノでは無いように思う。
購入前に交換とまで行かなくとも、予備くらいは持っておいても良いかもしれない。
勿論、いくら「故障が少ないクルマ」と言っても最終モデルでも生産から20年が立っているクルマ。新しい国産車を買うように全くノートラブルで過ごすことは難しいので、少しばかりはトラブルの覚悟をしておく必要がある。
ただ、その「覚悟」と言うのもはこの時代の殆どの輸入車よりずいぶん小さくて済むものと考えてもらっても良い。
店舗名0CARTROUBLE(ゼロカートラブル)
住所 〒551-0031
大阪府大阪市大正区泉尾1-36-10
TEL06-6533-5045 *営業時間外は携帯へどうぞ 090-5040-2794
URLhttp://www.zero-cartrouble.com/
営業時間11:00~20:00
営業日無休
最寄駅大正駅
アクセス大正駅 徒歩10分
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