幻の生ハムと呼ばれるクラッテロ・ディ・ズイベロ

幻の生ハムが来た。
皿にスライスして盛られているだけで
おいしそうな独特の香りを放っている。
「クラテッロ・ディ・ズイベロ」
イタリアのエミリア・ロマーニアを流れるポー川の上流の小さな村、ズイベロ村でしかつくられていなくてイタリア以外ではもちろん、
イタリアの人達でさえ、なかなか口にすることができない希少な生ハムだ。
別名 幻の生ハム。
製法は永らく秘伝であった。
霧深いこの山奥の村で、昔から村人の間でひっそりとつくられていたのだ。
まだビニール袋などない時代。
水を入れて持ち運ぶ皮袋に牛のボウコウ(膀胱)が使われていた。
雌の豚のおしりの肉を雄牛のボウコウに詰め込んでヒモで網状にしばりあげる。
それを洞窟にずらりとつり下げる。
毎日、床にワインを撒きキハツ(揮発)したワインを
皮と肉に吸わせる。
そのようにして熟成させる。