ジューシーな味わいを!子牛のTボーンステーキ

イタリアのトスカーナのキアナ谷というところに
とてつもなく大きくて真っ白い牛がいる。
古代種の牛である。
その牛の背中の肉、ロースとフィレを横に骨ごと切る。
Tの形の骨に分厚い肉がはさまっている。
家畜をと殺するときはこわがらせてはいけない。
散歩するように連れてきてすぐに眠らせる。
家畜がこわがると恐怖のアドレナリンが肉に充満し、味が落ちるのだ。
肉を解体した後もすぐには切らずに大きなかたまりでつるしたまま熟成させる。
どれくらいの期間の熟成がその肉に最適であるかは肉職人の腕と感によるしかない。
熟成が進み、肉が最もおいしくなった時、
Tの時に分厚く切り、暖炉に火を入れる。
甘い香りのするクリの木やコナラの木を燃やす。
木が燃え、真っ赤なおき火になったころあいを見て、肉を火の上の五徳(網)に乗せる。
塩、胡椒はしてはいけない。
策に塩、胡椒をすると肉の柔らかみが失われるのだ
火の強さ加減と肉との距離で焼き加減が決まる。
職人の腕のみせどころである。
表の片面を強火で焼き、表面を固形させて
肉の汁を中に封じ込めて、味を逃がさないようにする
裏面も同じだ。それからゆっくりとミディアムレアに
火がとおるように焼く。焼きすぎても焼き足りなくてもいけない。焼き上がると塩と胡椒だけでいただく。
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ