内科_戸田

血圧が高いと言われたら

高血圧とは最高血圧140㎜Hg以上かつ、または最低血圧90㎜Hg 以上の場合を言います。
2010年の報告では日本には4300万人と推定されています。
高血圧の90%は本態性高血圧で、原因として遺伝性素因、ストレス、塩分の摂り過ぎ、肥満などが挙げられます。残りの10%は二次性高血圧といい別の病気があり二次的に高血圧となる方です。昇圧作用のあるホルモンを分泌する内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群)、腎実質性や腎血管性高血症、睡眠時無呼吸症候群等があります。
 高血圧を放置しておくと脳卒中、狭心症や心筋梗塞、慢性腎臓病(末期には人工透析)、歩行障害を来す下肢閉塞動脈硬化症になる可能性があります。
健診で高血圧を指摘された方、肩凝りや頭重感がある方は早めに医療機関を受診して下さい。

動脈硬化

「人は血管と共に老いる」という有名な医学者ウイリアム・オスラーの言葉があります。ゴムホースが経年変化で弾力性が失われていく様に動脈も加齢により厚みを増し弾力性がなくなり硬くなってきます。これはある程度は生理的変化です。しかし、血中に悪玉(LDL)コレステロールが増加すると血管壁に染み込みアテローム(粥腫、プラーク)塊ができます。この塊が大きくなると血管の内腔を塞いだり、逆に血管壁がもろくなり裂目が入ったコブの様に広がったりします。このような状態になると狭心症、心筋梗塞、脳卒中、大動脈瘤等になります。

これが本当に恐い病的な動脈硬化(アテローム性動脈硬化)です。

動脈硬化症を進める原因となるものを危険因子(リスクファクター)と呼びます。

一番重要なのは脂質異常症です。これは以前高脂血症と言われていましたが、最近悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が高値のみでなく善玉(HDL)コレステロールが低くても良くないことがわかりこう呼ばれるようになりました。

他に病気としては高血圧、糖尿病、高尿酸血症などがあります。病気以外では喫煙、肥満、ストレス、運動不足、A型性格などが危険因子となります。

がん・心臓病・脳卒中は、日本の死亡原因のうち、60%の割合を占める三大死因となっております。このうち心臓病と脳卒中の発生原因の多くは、動脈硬化です。これらの病気が発症した場合、普段の生活大きく変えてしまうほどの深刻な後遺症を引き起こしたり、場合によっては生命の危険に繋がったりすることもあります。

しかし、動脈硬化は普段の生活習慣をただすことで予防をすることが可能になります。すでに動脈硬化が始まっていると診断された方は、健康な状態に戻すことは難しいですが、症状の進化を防ぐ改善を今すぐにでも努力するべきです。

脂質異常症

 以前は高脂血症と言っていましたが、最近は同じコレステロールと言ってもLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールと2種類ある事がわかって来ました。
 善玉のHDLコレステロールが低い(低HDLコレステロール)と動脈硬化になる為、高脂血症ではなく脂質異常症と呼ばれるようになりました。
 コレステロールは細胞膜の構成成分になったり、性ホルモンや副腎皮質ホルモン又胆汁酸の材料になります。
 しかし、必要以上に血中の濃度が高まると血管壁にLDLコレステロールが沈着します。これが、アテローム(プラーク)と言われるものです。このアテロームが増大すると血管内腔を閉塞して虚血症状を来します。心臓の血管であれば狭心症、下肢の動脈であれば歩行時の痛みです。このアテロームの表面が何らかの誘因によって破れると血栓が出来て血管を完全に閉塞し心臓では心筋梗塞になります。
 中性脂肪が500mg/㎗以上では急性膵炎になる可能性があります。
 脂質異常症・糖尿病いずれもカロリーなど脂質を抑え、食物繊維を含む食品を多く摂り、アルコールを控える事が必要です。もちろん有酸素運動も大切です。
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慢性腎臓病(CKD)

腎臓の働きは主に4つあります。
1.体内で出来た老廃物を余分な電解質や水分とともに排出。
2.血圧の調節
3.赤血球の産生を促すホルモンであるエリスロポエチンを分泌。
4.カルシウムを骨に沈着させる時に必要なビタミンDを活性化。
従って腎機能悪化すると浮腫、高血圧、貧血、骨粗鬆症などが出現します。慢性腎臓病(CKD)とは、健康な人に比べて腎臓の働きが約60%以下に低下あるいはタンパク尿などの腎障害を起こしている状態が3カ月以上続く場合をいいます。原因としては高血圧、加齢による腎硬化症、糖尿病、糸球体腎炎、腎悪性腫瘍などです。
腎機能の低下がさらに悪循環となり、脳血管障害、心筋梗塞などが起こりやすくなります。
 そして最終的には人工透析が必要になります。食事も他の病気と違い、蛋白質やカリウムなどの制限も必要になってきます。又、血圧も厳重なコントロールをしなければいけません。

糖尿病

1型と2型があり、大部分の方は2型糖尿病で複数の遺伝因子に、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子が加わり発症します。血統の高い状態が続くと口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感を認めます。
 糖尿病の診断は①空腹時血糖が126mg/㎗以上②75gブトウ糖負荷2時間後の血糖値が200mg/㎗以上③随時に採血して血糖値が200mg/㎗以上。このいずれかが確認された場合を糖尿病と言い、の症状(多飲、多尿など)や1~2カ月前からの平均血糖値を反映するHbA1c(ヘモグロビンA1c)が6.5%以上の場合などに糖尿病と診断します。
 糖質は体のエネルギー源として大切ですが、高血糖が続くと糖尿病性網膜症(最悪の場合失明)、糖尿病性腎症(透析患者さんの約半分)糖尿病性神経障害(最悪の場合は手・足の切断)を来します。これらは糖尿病特有の合併症で血糖のコントロールのみでなく、血圧も130/80㎜Hg未満(家庭血圧125/75㎜Hg未満)と血圧や脂質の管理も他の病気より厳しく設定さえています。

高尿酸血症・痛風

尿酸は体内でプリン体という物質の最終産物で高尿酸血症とは血中の尿酸値が7.0㎎/㎗を超えた状態を言います。尿酸値の高い状態が続くと血液中に溶ききれない尿酸の結晶が関節に沈着し炎症を起こします。これが痛風発作です。遺伝的な素因にさまざまな生活習慣(過食、アルコール、運動不足、ストレスなど)が加わり発症します。持続的な高尿酸血症は尿路結石や痛風腎を引き起こし、腎機能障害を来します。治療の第一歩はまずプリン体を多く含む食事を制限する事です。魚の干物、レバー、ビールなどのアルコールを控えましょう。