ワークライフバランス(WLB)とは、「仕事と生活の調和」と訳され、社員一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できることを言います。
WLBを推進することで社員満足度が向上し、満足度の高い社員の仕事が顧客満足度の向上につながれば、WLBは会社の負担増ではなく、会社の利益そして社員の収入増につながると考えます。
私の前職の会社では女性社員0人という時期がありました。ちょうどそのころに横浜市でも女性活躍推進研究会という施策を行っており、私自ら参加して、たくさんのことを勉強させていただきました。そして、いままで何もやっていなかった中小企業が取り組んできた事例ということでいろいろな機会に紹介させていただくことができました。
これらの活動を通じて、「女性活躍」というよりも「ワークライフバランス」というとらえかたで社内に取り入れていくことにしました。
H26年 横浜市女性活躍推進研究会に社長が参加、中間発表・最終発表
H27年 横浜市中小企業女性活躍推進セミナー パネラー
H27年11月 ウォールストリートジャーナル(英語版)に日本の小企業での取組事例として紹介される。
H27・28年には、女性社員をチャレンジ実践講座へ参加
H29年 横浜市女性活躍推進公開セミナ― パネラー
ちょうどそのころのある朝、若手男性社員が私のところへ相談にきました。「今度結婚したいのだが、相手女性が病院へ通い治療を受けていて、これからの人生を考えるとその治療を自宅で自分がやってあげられる資格を取りたい。そのために来年4月から2年間、毎日3時に早退して東京の学校に通わせて欲しい」とのこと。
彼にはこれから管理職としての教育・経験を積んで行かせるつもりだったので、この申し出は予定外。「もしだめだと言ったらどうするの」と彼に聞くと「資格を取るのをあきらめる」とのこと。まさに彼と彼女の人生にかかわることであり、私は正直、動揺しました。しかし彼のこの希望に応えてあげていくことこそが、「ワークライフバランスへの取り組み」を会社目標に設定したばかりのわが社にとっては、まさに“実践の場”となったわけです。
実は弊社にはすでに特定の社員に対してフレックスタイム制を導入していて、彼にもこれを適用すれば毎日3時で早退しても早朝と土曜日を使えば、現在と変わらない月単位での所定労働時間が確保できることがわかりました。
そしてこの社員には4月からの早退を許可。そして2年後、無事に資格を取得することができました。
弊社の場合、女性を増やすにはどうすればよいかというところからスタートし、そのためには「子育て支援」が必要。しかし「子育て支援」は「介護支援」と結びつくもということを学び、そこで全社的な動きになり、長時間残業への対応や休暇の取得など問題と併せて、「ワークライフバランス推進計画書」というかたちでまとめました。
やるべきことはたくさんあります。一度にはできませんから優先順位をつけてPDCAを回して、ひとつひとつ実現していきましょう。
毎年、少しずつでも社員が幸せになれる会社をめざしませんか。経営コンサルタントとしてそのためのお手伝いをさせていただければと思います。