検証・損害賠償請求

代車費用

代車費用として認められる要件「代車の必要性」

【認められない事例】(または認められにくい事例)
1 利用頻度と目的
ほとんど乗らないサンデードライバーでは認められない可能性がありますが、利用目的によっては部分的に認められる場合もありそうです。
2 プレミア感やブランド価値による車種選択
高級外車など、ブランド価値などを求めるような車両も全額を認めてもらうことができず、一般的な国産車の料金までが認められる範囲となりそうです。
3 複数の自動車を保有している場合
複数の自動車を保有しており、特に代車が必要といえない場合は認められないようです。
4 実用性のない自動車
趣味やコレクションなど実用的な使用をしていない場合は認められないようです。

【認められる場合】
1 お子様の送り迎え、通勤、買い物、通院、など、日常生活に自動車が欠かせない場合
2 業務・仕事で使用している場合

会社が自動車通勤を認めている書面
自動車通学が認められている書面
ETCの通行記録
日頃のお買物のレシート
通院の記録
ガソリンの領収書

自動車を日常から使用している記録を残しておくといいでしょう。
(代車を利用している期間だけでも保存しておきましょう)


【判例を検証してみましょう】

⑴ 東京地裁 H2-4-27判決 H1(ワ)11486号

「事故により車を破損された被害者が、被害車両の修理のために必要な期間中、他から車を賃借等して支払った費用につき、加害者に対し、右事故と相当因果関係があるとして賠償を求めうる範囲については、被害者としても当該破損状況に応じた合理的な対処をなすべきことや、車の所有又は利用の状態が多様であることを考慮すると、被害者の事故前における車の利用目的及び利用状況、車を修理に出すか否かを検討するに必要な期間、修理作業に必要な期間、それらの期間中の被害者の代車使用の必要性等を総合斟酌して定めるべきであると解するのが相当」

※修理期間のほか、修理するか否かを検討する合理的な期間の代車費用を認めています。


⑵ 東京地裁 H8-3-6判決 H6(ワ)10949号

「代車は、不法行為によって受けた被害者の利用利益の損害に対しての賠償であり、その期間も比較的短期間に限られるものであるから、同種・同等・同格の車種である必要はないと考える。 しかしながら、公平の観点から見ても、代車としてどの様な車両及び料金が相当であるか判断するに際しては、被害車両の車種、被害車両の利用状況等を勘案し、被害者に不足の損害を負わせないようにすべきである」

同種・同等・同格の車種である必要はないとしながらも、代車としての車両や料金が相当であるか否かは被害車両の車種や利用状況から勘案するとしている。


⑶ 神戸地裁 H9-7-22判決 H8(ワ)2214号

「代車費は、車両が使用不能の期間に代替車両を使用する必要があり、かつ現実に使用したとき、相当に範囲で認められると解するのが相当である」

代車は現実に利用していないと認められません。


⑷ 東京地裁 H12-3-15判決 H10(ワ)7818号

「本件のように被害車両が経済的全損となった場合は、代車使用料が認められるのは、買い替えに要する相当期間についてであるが、これには買い替え自体に要する期間のほか、事情に応じ、見積もりその他の交渉をするのに必要な期間が含まれるものと解される。そして、加害者に代わって損害賠償の交渉を行う保険会社の担当者としては、被害者に対して、修理が可能かそれとも経済的全損として買い替えが必要か等について、十分に説明をし、被害者の理解を得るように真摯な努力をすべきものであり、そのために通常必要とされる交渉期間内は、加害者において代車使用料を負担すべきものである。」

1 買替に要する期間のほか、見積およびその他の交渉期間の代車利用を認めている。
2 裁判所は「十分に説明をし、被害者の理解を得るように真摯な努力をすべき」と、保険会社(担当者)の責任についてまで踏み込んだ判事をしている。


⑸ 東京地裁平成13年12月26日判決

「示談を代行する保険会社の担当者は,被害者の理解を得るように真摯な努力を尽くすべきであるから,被害者が納得するための交渉に時間を要し,その結果修理又は買替手続きに着手する前の交渉期間中に代車使用料が生じたとしても,合理的期間内の代車料にとどまる限り加害者は代車料を負担する義務がある・・・」

修理・買替手続きに着手する前の交渉期間中も、合理的期間内であれば認められる。


⑹ 東京地裁平成13年5月29日判決

「本件のように被害車両が経済的全損となった場合には,代車使用料が認められるのは,買替えに要する相当期間についてであるが,これは買替え自体に要する期間のほか,事情に応じ,見積りその他の交渉をするのに必要な期間が含まれるものと解される。そして,加害者に代わって損害賠償の交渉を行う保険会社の担当者としては,被害者に対して,修理が可能かそれとも経済的全損として買替えが必要か等について,十分な説明をし,被害者の理解を得るように真摯な努力をすべきものであり,そのために通常必要とされる交渉期間内は,加害者において代車使用料を負担すべきものである。」としたうえで
「被告保険会社の担当者から原告車両の時価に関する資料が示されて,その修理費が時価を上回るとの説明がなされた形跡は存しないし,平成7年1月14日に原告車両の修理費の見積額が判明した時点では,必ずしも原告車両が経済的全損に当たることが明らかであったともいえない。しかしながら,被告保険会社が,被告に過失はないと原告側に通告し,保険金を支払わない態度を明らかにした後は,当面,交渉による解決は期待し難い状況となったのであるから,原告の判断において,修理か買替えかを決すべきであったと考えられる。そうすると,前期意味における買替えに要する相当期間は,被告保険会社から最終的に保険金を支払わない態度を明確にした後である同年3月中旬ころまでと認めるのが相当である。」

保険会社の説明責任について、更に踏み込んだ判事となっていますね。


【保険会社の決まり文句!】

1 「過失割合がある事故には代車費用は補償されない」
2 「経済的全損のときは14日までと決まっている」

まったく根拠のない嘘のようですね。このようなことを保険会社から言われた場合には、その他の補償についても誤魔化されている可能性がありますので、すぐに弁護士などにご相談ください。

保管料

事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要な相当の期間内の保管料は事故と相当因果関係があるとした上で、「原告車が全損になった旨主張している本件においては、事故と相当因果関係がある保管料として認められる範囲は、特段の事情のない限り、原告者につき、これを廃車にするか否かを考慮するのに必要な相当の期間内のものに限られるというべき」として保管料の請求を認めた。
(大阪地判平成10年2月20日)

経済的全損となった場合ですが、保管料請求に対し、おおむね2週間程度の保管料が認められています。

修理見積費用

事故により損傷して結果として全損となった原告車の修理見積を原告が依頼して支払った費用3万円について、被告側で修理見積をしたことをもって原告が修理見積をする必要がないということはできず、原告が依頼した修理見積費用が不当ないし不必要であると認めるに足りる証拠はないとして、同費用を損害として認めた。
(大阪地判平成16年2月13日)

被害者が、加害者側(保険会社)の見積もりをもって損害額が確定とすることは相当な不利益となりますからね。被害者自身で取った見積費用の請求も認められています。
保険会社は中立的立場ではありません。あくまで加害者側なのです。

時価額(経済的全損)

【市場価格方式】

時価の算出方法を、原則として、当該車両と同一の車種・型・年式・同程度の使用状態・同程度の走行距離等の自動車を、中古車市場によって取得するために必要な価額(市場価格方式)によって定めるべき
(最高裁1974/4/15交民集7巻2号275頁)

【減価償却方式】

自動車の事故当時における取引価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によって定めることは、加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のない限り、許されない。
(最判昭和49年4月15日民集28巻3号385頁)

【減価償却の例外】

自動車の初年度登録から長期間が経過し、車両の中古車市場における価格を算定すべき適切な資料がない場合には、減価償却の方法を参考として車両の時価額を認定することは、必ずしも不合理とはいえない。
(東京地平成13年4月19日民集47巻2号535頁)

他に算定することができる資料がない場合ですね。

消費税

「仮に原告会社が原告車両を修理する場合には、消費税が発生するのであるから、消費税額を含めた396万3508円をもって、相当な修理代金とみるのが相当である」

東京地裁平成18年3月27日判決(交民39巻2号370頁)

未修理車両の修理費

交通事故によって破損した事故車両が修理されてなく、修理する予定もなかった事案で、被害車両が現実に損傷を受けている以上、交通事故による損害は既に発生しているとして,修理費相当額を交通事故による損害と認めました。

大阪地裁平成10年2月24日判決(自保ジャーナル1261号2頁)

修理工賃単価 (レバレート)

レバレートは、個々の修理工場における1時間あたりの作業価値を示す数値であり、修理工場を経営する事業者の利益を含む希望価格である。事業者ごとに異なり、需給バランス、地域同業者との価格競争などによって差異が生じるもの。被害者はどこの修理工場に依頼してもよく、支払った修理代金はそのまま加害者に請求できるのが原則。加害者は請求額が相当と考える金額より高額というだけでは支払いを拒むことはできない。
(東京高平成29年12月12日)

平成6年10月24日
レバレートに関しては、社団法人損害保険協会は公正取引委員会から警告を受けてますね。
司法と行政から「No」といわれたことになります。

市場原理において構築される事業者の料金単価は、損害賠償費用の請求としても認められるということになります。これは代車(レンタカー)の日額単価においても同様のことがいえますね。